AXIS (アクシス) 02月号 [雑誌] アクシス 2004-12-28 by G-Tools |
Ron のQ&Aセッションが今日あるのを今日知った(ていうか今日掲示板に貼ったんじゃないのか?いつもチェックしてるのに…)。で、Q&Aって一体何だろう…と、思ったら、Ronが自分のいろんなプロジェクトについて紹介してくれて、学生の質問に答えてくれるものだった。
…感動した。ホントに良かった。
formalなプレゼンじゃないけど、マテリアルはおそらく本番で使ったものとか、製作過程のスナップとか。中身の好みはあるかもしれないけど、こういうトップデザイナー(っていうと陳腐だな…)の、ホンモノの仕事を垣間見られてすごくよかった。
まず紹介してくれたのは、今抱えている一番大きいプロジェクトだという Battersea Power Station のUpperworld Hotel。ブっとんでる! AXISの特集で読んだ時には、ピンとこなかったんだけど、ただブッとんでるだけじゃなくて、背景を知るといろいろ考えられていて(あたりまえ(笑))、またそのインパクトに素朴に圧倒された。他にも来月のミラノサローネに向けたものとか、世に出なかったものとか、「よそで言わないって約束してくれよ♪」って言いながら、気前よく何でも見せてくれた(なので中身にはほんとふれられないけど…)。 学生が「XXXの時はどうだったんですか?」とか聞くと、「あ〜アレか、あれは、おっとその前にコレを見せた方がいいかな…」ってカンジで、プロジェクタにつながったラップトップのフォルダを開いて探していく。そこにはManchesterとかTomVacとかっていうファイルがふつーに並んでいて、また学生が「ぁ。それ見たい」とか言うと、「コレか」って感じで、次々と…。2時間の予定がかなりオーバーしたけど、楽しかったぁ。
「デザインていうかアイデア大会やんかっ」とか思ってたけど、Ronのいろんなプロジェクトのの Final Proposal にいたるまでの過程を見て、まさにここで僕らがやってるようなアイデア大会(レベルは違うけど…)。技術的、造形的なコトはできて当然なんだろうけど、その上で、ブッとんだモノも含めて発想豊かにいろんなアイデアを取り上げてる。手書きスケッチ(Ronはタブレットを使うらしいけど)から始まって、あーでもない、こーでもない、っていうプロセスは、僕らがやってるのと一緒なんだなぁ、同じコトやっててレベルがぜんぜん違うんだなぁ、と素直に感心した(そしてそんなプロセスを見せてくれる気前の良さも)。
AXISのインタビューではRonはこう言っていた
私が思うに本当のデザインのスキルとは、どのアイデアに自分の時間を投資し、どれを拒絶するかの判断であって、アイデアを新たに起こすことではないと思う。どのアイデアが良くて、どれが駄目なのかを見極めることが本当の仕事だと思う。 |
RCAの学生についてはこう言ってた
生徒全員を助けるなんて、もともと不可能なこと。生徒たちはみんなファンタスティックな作品を制作しなければというもの凄いプレッシャーを抱えているけれど、全員が成し遂げられるわけではない。ソリストになれる者もいれば、オーケストラの一員として活躍するものもいる。世の中には、良いオーケストラも必要だからね。 |
そういえば、先週は「SIR MISHA BLACK AWARD」の受賞(ってなんでしょう?この賞?なんにも知らなくてすみませんが…)とかで、IDEOのFounderで今は、スタンフォード大で先生もしてる、David Kelley の lecture があった。「プロダクトデザイン=工業デザイン=製品の外観を決める」ぐらいの、素朴なイメージをまだ持ってたころ、 「プロダクトデザインってこんなに面白いコトやってんだ」と、思ったのが、 David Kelleyの弟、Tom Kelleyが書いたIDEOの本、「発想する会社!(いつものコトだけど、邦題ってなんでダサいんだろう? 原題 The Art of Innovation)」。
発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法 トム・ケリー Tom Kelley ジョナサン・リットマン Jonathan Littman 早川書房 2002-07-25 by G-Tools |
彼はスタンフォードで、d-school っていうのを作ったらしくて、そこでは multi-disciplinary なカリキュラムがあって、computer science, social science, business, engineering の専門家が集まって、design thinking や design method をもってそれらを integrate していくそうで、David Kelley によると、デザインはこれらの各領域に並ぶんじゃなくて、それらを統合するレイヤーの話だと。d-school は、いろんな分野の専門家が集まってコラボレーションできる理想的な環境が整えられるらしく、彼が強調するのは、チームワークやデザイン手法や複数の専門領域のインテグレーデョン。
スタンフォードとRCA、カリフォルニアとロンドン、Divid Kelley と Ron arad、理想のコラボレーション環境と無制限な自由と放任、チームワークとソリスト… あまりに対照的で面白い!
実はここに来る前、僕はプロダクトデザインについて David Kelley 的なものをイメージしていて、そういうスキームとか、メソッドとかを身につけたいと思ってたんだけど、今は…、う〜ん…どっちも面白いな、と。
しかしRon方式もそれはそれでキツい。キャリア有り組も、学部卒も、(僕みたいに)畑違いも、(Ronも、) ある意味、同じ土俵で「自分力」だけで勝負する世界なんだなぁ。発想もスキルも、自分の中に無いものは出せないし、三十数年間生きてきたけど、その中で何を蓄えてきたのか、「自分力」を問われる感じ…。会社にいて組織で仕事してると、グループだったり、後輩がいたりして、「自分ひとりで何ができるのか?」っていうコトを問わなくてすんじゃうことも多いけど、それを今、あらためて突きつけられて、ドキッとしたり。 (…とか気づくのに半年もかかってる場合か?>オレ)
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AXISといえば(RCAの図書館で読める唯一の日本語の雑誌)、今月号で、例のmagazineプロジェクトが紹介されてる。ま、残念ながらBLOG@zineはのってないけどね…(苦笑)。
AXIS (アクシス) 04月号 [雑誌] by G-Tools |
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