'Wise Old Bird'Janeにつれられて、Smith Aerospace社の見学に。Smith Aerospaceははじめて聞く名前だったんだけど、航空機の部品なんかを作っている会社らしい。
ロンドンWaterloo駅から電車を乗り継いで約2時間。牧場にはさまれたプラットフォームだけののどかな駅Hambelに着いた。駅を出ると海の匂いがした。ロンドンに来てはじめて(海の近くの田舎町で育ったから、海の匂いって懐かしいっていうか安心する感じだ)。見学させてもらったのは、このMechanical Systems - Aerostructures。
主に軍事用と民間用の航空機の部品を作っていて、最初に見せてもらったのが、カーボンファイバーを使った部品の製造過程。航空機以外の分野へも進出しようとしているそうで、メルセデス・ベンツSLRマクラーレンのモノコック・カーボンファイバー・シャーシもあった(でかっ)。しかしカーボンファイバーってホントに繊維なんだ(あたりまえ>オレ)、ベタベタして黒いプラスチックみたいな光沢の繊維で編んだシートを裁断して型に合わせて貼り合わせて作る(…軍事用品もあるので撮影は一切禁止だったので写真はないけど)。ほかには、戦闘機のキャノピー。分厚くて巨大な透明アクリル板を熱してこれまた型にあわせて成形するんだけど(あれってアクリル版だったんだぁ)、おぉ、学校でやってるバキュームフォームと一緒やんか(一緒にするなっ>オレ)って感じでそれはそれでダイナミック。しかし、どれも結構職人芸って感じの、手作り感溢れるカンジで意外。面白い。
キャノピー用に成形したアクリル版も、おじさんが壁に貼った巨大目盛りと透かせて見比べながら、「う〜む。ダメ。もいっかいやり直しっ!」みたいな…。で、できたのをまた別のおじさんが手で磨く。「中東とかに配備されるヤツは、曇っちゃうからたまに磨き直さなきゃなんないんだよ」とか言って…。だいたい平均年齢も結構高いなぁ。日本で見た電気製品のアセンブリ工場やBRAUNの工場なんかと比べると、のんびりしてるし。やっぱイギリスだからか?
そしてアルミ削りだし部品。こんなでかいアルミの塊を見たのははじめてだけど、これを削って部品にすると大体、もとの7%ぐらいの重さになるとか!(大量に出る削りカスはリサイクルするらしいけど) それはまたスゴい話だ。ただし、アルミ部品なんかはほとんど機械が自動で削ってた。
そんなブリティッシュな雰囲気いっぱいのMechanical Systems - Aerostructures社も、中国進出中で、中国で工場が稼働し始めたらしい。機械でアルミ削るのとかは、どこでやってもできるのかもなぁ。でも、キャノピーとか、戦闘機の空中給油機(アームが電動(?)で動く!)とか、巨大な輸送機のドア(っていうの?専用倉庫も作ったらしい)とか、大量生産じゃなくて職人芸的なのは残っていくんだろうなぁ。
航空機産業の裾野の広さにあらためて驚く。同時に、ここで作ってるのは各航空機の膨大なパーツのごく一部で、それを束ねる ボーイングやエアバスの設計、製造(管理)能力のすごさ一端を、またそれが職人仕事に支えられているのを知った。(軍用機の需要があるのも大きいとは思うけど)欧米の製造業の中でも常に優位を保っていて日本も及ばない、航空機産業の一部はこんなイギリスの海辺ののどかな田舎町の頑固な(かどうかは知りませんが(笑))イギリス人おじさんに支えられてるんだなぁ、と。
ぁ。でも日本にもいるようなぁ、こういうオジサン。いる。日本の製造業ってそういうのを最大限に引き出せてるんだろうか…。(しかし、オジサン、オジサンつって…、そもそもオレがすっかりオジサンじゃないかっ!製造業なのに手に職はないけど……と、書き終えて気づく orz)
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