Christensen先生の講演の後半を聞いて(読んで)みた。「後半は、じゃあ、どうやって「破壊的イノベーション」を生み出していくかっていう話っぽいけど、」っていうのはウソで(一緒にあがっていたスライドがそんなカンジだったので…)、後半も豊富な例をまじえながら、なぜ既存のプレーヤーがその優秀さゆえに市場を見誤るか(IBM)、Disruptive Technology がいかに"crummy"な製品からスタートして既存の顧客とは違う市場に食い込んでいったか(Sony)、どうすれば既存プレーヤー自らがDisruptive Technology をコントロールすることも可能だったか(Intel)、などが語られていく。「ジレンマ」よりも例が(個人的に)すごく身近でかなり面白い♪
(…けど、要約は省略(たいへんだったので;笑))
この講演でも触れられているChristensen 先生の理論のコアの一つ、「law of conservation of modularity/profit」についてはそのiPodへの応用がトラックバックをくれたWe all follow United !のChristensen教授の理論から見るiPodに詳しい。
コメントでもらったように、次はというと、じゃ、これをmodular化して、「携帯電話がMusicPlayerの機能を持つ」とか「大容量フラッシュメモリでさらにHDD置換え」あたりが多い見方な気がするけど、でも以外と大変かも。
Appleはまさに1つ上のレイヤーでproprietary な integration をやったんだと思うんだけど、1つ下のレイヤーで劇的にコレをやってのけたMicrosoftはいまだに強固にロックインしちゃってる。ロックインのチカラの源はswitching costなんだけど、iPodやiTunesには一見なさそうも見える(MP3だしね)。でもココでの目に見えないswitching costは「ユーザエクスペリエンス」。一見、ナイーブに聞こえるけど(笑)、つまりは慣れたり馴染んだもの切り替える、学習コスト、特に時間的コストで、例えば「時間」については FAST COMPANY の The New Family Ecosystemという記事では、いろんな例をひきながら"onslaught of media(メディアの猛攻)"にさらされているコンスーマーにとって、
To busy consumers the chief goal of life has become saving time, with some polls suggesting that time has become more valuable than money. |
These trends are bound to lead to a new family ecosystem, one that relies greatly on the Internet and mobile phone-based systems to provide support for eroding family values. |
そしてこのswitching costは、iPod+iTunes+iTMSのintegrationというかcoodinationのデキのよさにかかっていて(それは実際デキがよかった)、Christensenの言う、「次のlayerで『optimize』せよ」は、このケースではこのcoodinatoinじゃないのかな? iPod開発秘話は日経エレクトロニクス#874-877あたりに詳しいけど、ただ、これを見るかぎり、戦略的にそれを狙ったというよりは(Jobsの嗅覚はあったにせよ(笑))、いくつかのラッキーな巡り合わせと、それ(ハード、ソフト、サービスのcoordination)を可能にする環境がAppleの中にあったコトが大きかったんだなぁ、と。でもココを僕らも狙えるはずじゃないかな。
それはそうと、僕は、もしかすると「次」に本当に大きなインパクトを与えるのは、本命のフラッシュメモリや携帯じゃなくて、大穴の"creative commons"じゃないかな、と。
Wired(11月号)はSample the Futureで
musicians are thieves. Nicking a bit of this song and a lick from that one, shaping their style on the riffs of those who came before, musicians are experts in the art of acquisition. |
(プレミアムコンテンツはなくならないとしても、)これは disruptive だよなぁ。
経産省のヒトまで「300年ぶりの著作権のパラダイム・シフトが起きている」 なんて(ここではまだソフトの話だけど)。ストールマンまでいかなくても、今の著作権の扱いには違和感を感じる人も増え始めるんじゃないかな、と。でも、今のビジネスには今の著作権を維持することも必要で、まさにsustainableなカンジだ。でも一方では既存プレーヤーの中でも、誰か、逆側に賭けておく必要があるんじゃないかと思って、で、JMのターゲットはそんな"Creative Commons"側かな、と。
それでもこっちが「本命」じゃなくて「大穴」だと思うのはLessig先生も指摘するように、「『インターネットは本来、自由でオープンな性質を持っている』というのは幻想で、ほおっておくとどんどんコントロールされた自由のない世界になっていく(だったかな)」もので、commonsはその流れに逆らうかなり困難な試みだから。
CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー ローレンス レッシグ 山形 浩生 柏木 亮二 翔泳社 2001-03-27 売り上げランキング 20,856 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
コモンズ ローレンス・レッシグ 山形 浩生 翔泳社 2002-11-30 売り上げランキング 44,513 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
オープンソースワールド 川崎 和哉 翔泳社 1999-12 売り上げランキング 5,574 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
codeもコモンズもフリーで公開されてません。
投稿情報: Misa | 2005-01-13 01:56 午前
ご指摘ありがとうございます。勘違いしていました…(修正しました)。
投稿情報: naoya | 2005-01-13 02:17 午前