今日は午後からNickのスタジオにお邪魔しての1DayProject。
inflateのWebの地図を見て行ったらそこには何もなく(!)、そう言えば引っ越したって言ってたっけ?今は、ちょっと郊外のLondon Field近くの工場が建ち並ぶ通りに若干ひっそりと…。
Nick自身は今日もスタッフと一緒に作業場で何か製作中で忙しそう。2台あるビニールを熱で圧着する機械の1台をみんなで借りて何か作ることに。しっかし、この機械がかなり年代物! すごいな、でもこの機械で製品を作ってるんだからな〜(実際、となりでスタッフが使ってる)。なんとなく「デザイナー」っていうと、オフィスで図面を描いて製作はどこかに依頼するっていうイメージだったけど、ここではNick自ら、作業台に広げた巨大なビニールシートにスタッフと一緒に目盛りをつけたりしてる(何かまた巨大なものを作ってるみたいだ)。う〜ん、年代物の機械と腕一本でやってるぜ、家族も養ってるぜ(前にお子さんを学校に連れて来てた)、って感じでちょっとカッコいいな。
ただ、7人もいて機械1台なので、まったくはかどらない…。また、この機械がときどき火花を飛ばしてイっちゃうし、慌ててやるから手とかケガするヤツもいるし、で大変。でもこんなシンプルな機械でホントにinflateみたいなのが作れるんだ〜と、感心。ホントに、これは発見(発明)だなぁ、と。膨らませたものって独特の感触や表情があって楽しいしね。それに軽いとか畳めるとか、独特の特性もあるし。ここに可能性を見つけたのがエラい!
で、誰かが、
「この機械が学校にあればいいのに」っていうと
「ムリだ。学校の安全基準を満たせない」
って…。納得。
で、作ってみたのが、コレ。壊れ物をエアクッションで挟み込んだまま運べるバッグ…のはずだったんだけど、圧着がダメで空気漏れしちゃって膨らまない…(泣)。ちなみに最初のスケッチがコレ(右)。 でも機械が混み合ってて直す時間もない…(泣)。あと、膨らんだ時にどういうカタチになるかコントロールするのがけっこう難しい。何度も作ってみながらやるしかないんだろうなぁ。
ま、仕方ない。でもバルブ周りの刻印だけは一人前に「inflate」だったりして♪
しかし、こういう生き方もカッコいいなぁ。Nickは大学(RCA)時代にこの機械と巡り会って、その後inflateを立ち上げたそうだけど、こうやって工場街のスタジオに仲間(スタッフ)と活気溢れる感じで試行錯誤を繰り返しながら、自分で手を動かしてモノを作る。どうやら今は締め切り前らしくて、でもそれでなくても、いつもすごく忙しそうだけど、たまにバイクで学校に駆けつけて、学生の相手をして…。で、そうやって作られてるうちの一つが、例えば代官山あたりのオシャレっぽいインテリアショップ(イメージだけど(笑))とかに、Nick Crosbieのinflate作品とかいって飾られたりして…。
いろんな意味で勉強になりました。
なんか、こう、創ってるって感じがする。仕様をもらって「作る」っていうのとは違う「創る」っていう感じ。もちろん、複雑で大規模なモノを作るには、うまく分担して組織的にやる必要があるとは思うんだけど、そういう「作る」部分って本当に高い付加価値を生んでるのかなぁ。もちろん、こういうinflateみたいに、「なんなら一人でもできる」って感じの、シンプルなモノ(その価値を見抜いたのがスゴいけど)なら、自分で作りながら試行錯誤っていうのもできるけど、超複雑なエクトロニクス・デバイスとかだとそういうやり方はできない、んだろうなぁ、かもしれない、と、そう思われてきたんだと思う。
でも、ホントにそうか? やり方があるんじゃないの? 「作るヒト(エンジニア)」と「考えるヒト(デザイナー)」が別っていうのはホントはすごく不自然じゃないのか? てゆか、そんなんでホントにスゴいモノできるの? とか、それを試してみたかったのが、RCAに来た理由でもあるんだよね、オレにとっては…。
で、ちょっとイケるんじゃないか?って気がしなくもない(今はまだしょぼいけど(苦笑))。例えば、プログラムとか、電子回路とか、コンピュータとか、モデリングとか、モックアップづくりとか、グラフィックデザインとか、Webデザインとか、サーバサイド系とか、昔はそれぞれハードルが高くって、どれか一つを身につけるのにも何年も修行がいるって感じだったけど(一部想像♪)、今はそのどれもが、ものすごく入り易くなってる気がする(もちろん、最高峰はスゴいんだろうけど…)。単に、この辺りを自分のスキルのポートフォリオとして持ってる人があんまりいないから(多分これまでの環境的に…)、分かれちゃってるだけじゃないか、と。
そもそも、新しいプロダクトデザインは新しいスキルの組み合わせを持ってる人が創るんじゃないか、と。昔の家具職人は木材についてはものすごく詳しかったかもしれないけど、そこに金属やガラスやプラスティックとかの新しい素材技術の知識を持った人が現れて、新しいデザインを生んだように。NickがinflatableなPVCのスキルを持ち込んだように。
だから、こっちは特異なスキルの組み合わせ(ポートフォリオ)を作って勝負したいな、と思って、かなり無理して(苦笑)やってんだけどなぁ。あと、もうちょっと、それぞれのレベルが足りなくて届かない感じ…。
最近のコメント