企画展も見たけど、ここの常設展が好き。19世紀末から20世紀にかけてのバラエティに富んだ作品がこれだけ一度に見られる場所って少ないんじゃないのかな?(よく知らないけど)。このあたりの近現代絵画って、変化が激しくて、でも、その先にはもう何もないのに、それを知ってか知らずか疾走していく感じが、切ないような気分にさせる。ベタだけど、ロウソクの炎が消える前が一瞬すごく明るい、みたいなもんだよね。つぎつぎ新しいコトを発見しちゃって、でもそんなの無限には続かないのに、お互いに刺激しあって、テンションも高まって、ますます加速しながら、終末に突っ込んでいく、悲しくも激しいドラマってカンジ。現代つっても100年前のとかだと、その作品から直接響くものはもう少なくて(これがヨーロッパ中世とかになると(当時そんなコトなかったはずなのに)微妙にユーモラスな印象さえうけたりするしね)、前世代の芸術家たちのドラマ、美術館はその劇場、みたいなカンジだなぁ。「アートなんて要は『見方』の問題だろ?」と、デュシャンあたりに言われて(かどうかは知らないけど(笑)、デュシャンもあった)、絵画が終わったように(知りませんが…イメージ(笑))、その後のムーブメントも「アートなんて要は『脳への刺激』だろ?」と、言われるともうほとんど後には何も残らないのかな、と。そう思うとサーチ・ギャラリーなんかも、「もうほとんど消えちゃってる残り火を在りし日を懐かしみながら愛でるリッチな人々の道楽」、っていう気がしなくもない(失礼>オレ)。
脳の中の出来事は、ほとんど無限、でも有限、の世界だから、「塗り絵で、大きな部分から塗りつぶしていったら、大体塗り終わっちゃった」、みたいなもので、後は細々したところを(ほとんど)終わりなく塗りつぶしていく作業は残るけど、もう昔のような劇的なコトはおきない。地球は無限に広いと思って大航海に出たけど、今はもうこれ以上、未知の大陸はなくて、意外と近所に何か忘れられてる空き地があったっけ?みたいな?
(まったくの想像ですが)16世紀のイタリアの田舎に生まれて、本もないし、村の看板屋の書く絵が見事だと感心しながら、人生をおくってきた信仰心あついおじいさんがいたとして、死ぬ前に一度、と思ってバチカンにでかけて、(庶民が普通に見れたかどうか知らないけど、かりに)「最後の審判」とか見ちゃったら(いや、まったくの想像ですが♪)、そりゃぁ死ぬほど衝撃的だったろうなぁ、と思う(脳内の未知の大陸)。それを思うと今モダンアートとか見ても、いいとこちょっと「ぅ。」って思うくらいかなぁ(脳内の空き地)。
そう思うと、自分たちが永遠だ、または普遍だ、と思ってるもので本当にそうなのは少ないんだろうな、と。人間の脳はかなり巧妙にできてるらしいけど、いかんせん設計が古い(基本設計は数百万年前?)。人間の直感や認知能力はその頃のヒトが扱えるモノのスケール(空間的にはせいぜい10の1乗からマイナス4乗メートル、時間で10の1乗年から10マイナス2乗秒ぐらい?)の範囲だと時に恐ろしく正確だったりするけど、それ以外だとほとんどアテにならないよなぁ。何かが、100年も続くと、この先ずっと変わらないような、不変の法則のような錯覚をおこす。芸術の「発見と進化」の歴史も数百年は続いてきたから、直感的には終わった気がしなくて、それが本当に終わったと思えるのは、何世代か世代交代して、「生まれた時から芸術なんて終わってた世代」になったころかも…。
ただし、数十年から数百年に一回の変化っつっても、いろんなカテゴリー(自然災害、戦争、病気、社会、環境…)を考えると、一回の人生の間に何回かは、そういうのにブチあたってもおかしくなくて、その時、直感に反する判断をできるか、はすごく重要なんだろうな、と(Christensen先生が「理論」を強調するのもそうなんでしょ)。
で、ようやくデザインについて考えると。今、思われているプロダクトデザインがプロダクトデザインなのはたかだか200年ちょっと。そのうち直接的に大きなインパクトを与えたのは産業革命や、大量生産だと思うけど、実はその後に大きかったのはエレクトロニクスやITなんじゃないかと思う。それまでは、見た目やカタチと機能、メカニズムが直接関係してたけど、エレクトロニクスやITは目に見えないから。それまでは一致していたけど、エレクトロニクス(IT)では見た目(カタチ)と機能(メカニズム)は分かれてしまった。それまでは、プロダクトデザイナーは両方を(必然的に)同時にデザインしていたけど、エレクトロニクス(IT)では見た目(カタチ)の方をデザイン、機能(メカニズム)はエンジニアリングとされるようになった。これってたかだか数十年の話だと思うけど、なんだか不幸な誤解があったような気がする…。今、あたりまえだと思ってることもあたりまえじゃないかも知れないし。もっと可能性があるかもしれないし。
この冬、 思いがけず(笑)ロンドン、ブリュッセル、パリの主要デパート巡りをしたんだけど、コレが意外に面白くて、各国各店舗の、家具、インテリア、雑貨、エレクトロニクスを見てまわった(結局どこも同じようなものだったけど)。で、これが、「デザイン上の発見、その展開」のバラエティ豊かなこと!(デザインミュージアム行かなくていいやんかっ、高いし…(笑))
しかし思い出したのはポンピドーセンター…。この疾走感の行き先はドコなんだろう?
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